大きな声では言えないけれど仏壇が怖い

見えないもの未知なるものは怖いのです。


良い歳をして仏壇が怖いと言う秘密を抱えていませんか?核家族が当たり前の世代で仏壇がない家庭に育つと何と仏壇が怖いものと思い込んでしまうことがあります。

 

 

勿論、仏壇が怖いなんてことはないと言う方もおられると思いますが、意外にも仏壇が怖い人は多いものなのです。何故仏壇が怖いのでしょう。私がお坊さんに聞いた克服法を交えて解説します。

お葬式や法事などの仏事は、長寿社会の入り口では身近なものではありませんでした。誰もが長生きをする時代です。

祖父母や両親が死ぬという体験をする年齢も高くなります。すると日常から仏壇や仏事に接する機会自体が減少しますし知識がない人も増えますよね。

高齢化以前の皆が元気な世界に生きていると人の死が非常に遠く感じられるものなのです。実際、私が育った時代は老人よりも子供の方が多かった時代でした。

遠い出来事はよくわからない

会社の関係やご近所で、ご不幸があってもそれらは他人の事であり実際自分自身の不幸と考えることは出来ません。

友人や特別なお付き合いのあった方が亡くなった場合は、かなりショックではありますが身近な家族の死ではない限り仏事の細々としたことに関わることは少ないですよね。

 

 

例えば、親類の伯父さんが亡くなっても一緒に暮らしてでも居ない限りあなたは単なる参列者です。

通夜や葬儀が済んでしまえば何喰わぬ顔をして家路について家に着けばいつもの日常生活が待っています。喪服を脱げば、疲れだけが残り心の中は平静に戻ります。

仏壇が怖いと言うのは仏壇を知らないから?

子供の頃から家に仏壇があれば恐怖心は然程感じないものです。しかし家に仏壇もなく祖父母も両親も健在でまったく仏事は他人事であると仏事自体が未知なる世界なわけです。

あわせて考えるとお墓や仏間のイメージは決して明るいものではありません。ちょっと不気味で怖い感じがしますよね。

だって誰が眠っているのかわからない訳です。不気味と感じるのは自然なことです。

お化けのイメージや昔流行った横溝正史の金田一耕助のドラマや映画では、田舎のお屋敷の仏間が不気味な舞台として画面に映し出されるのです。

そのような映像を観て育った世代には、仏間や仏壇が別世界なのは不思議なことではありません。

やはり仏壇は怖いです

知らない人のお葬式も怖いですし、知らない人の遺影の飾ってある仏壇も怖いです。

仏壇も大きくなればなるほど威圧感が増して怖さが倍増しますよね。怖がるなと言う方が無理と言うものです。

実は私も仏壇が怖いひとりなのです。子供の頃は、車に乗ってお寺の前を通過するのも怖い子供でした。とにかく臆病で神経質な子供で、家族で暮らしていた団地の中でお葬式があると一晩中怖くて眠れないほどでした。

怖くて部屋の隅で丸くなって震えていた記憶があります。小学生の低学年の頃だったと思います。

父が心配して抱いて寝てくれて、やっと落ち着いたくらい怯え切っていました。私は幼少期からずっと仏壇やお葬式が怖くて仕方がないのです。

中学生のときに父方の祖父が亡くなり棺にお花を入れることも出来ず逃げた経験もあります。そんな私を理解する両親は、私を咎めることはせず何も言われなかったということをはっきり覚えています。臆病で神経質な私を理解してくれていた両親でした。

仏間に宿泊?あり得ないです

社会人になって友人のご実家に泊めて頂いた時もいきなり仏壇のある部屋に布団を用意されてビビってしまいました。

仕方なく「仏壇が怖い」と言う事情をお話して部屋を変えて貰ったことがあります。

 

 

今思うと非常に失礼な話しですが、やはり今でも怖いのです。それは友人のご実家とは言え、知らない人の仏壇だったからだと思います。

家族の死は、万が一なのです

自身の家族は永遠にこのまま欠けることなく生きて暮らして行けるのではないかと思い込むのは決してあなただけではありません。

それ故、万が一と言う言葉は命に関わる代名詞なのです。万が一のことが日常的にあったら大変ですよね。

人間が死なないという発想自体が幼稚ですが、死自体を身近なものと理解できないことは決して珍しいことではありません。

小さな子供も死を理解できません。この場合は、人が死んでこの世から居なくなるという意味での死の認識です。

大人になって死を理解出来ないというのはそれとは別で近親者が亡くなった経験がないという意味での理解です。

幾ら理屈で解かっていても実際に体験しなければ物ごとの本質はわからないということです。

仏壇が怖い未来を考えてみる

超高齢化社会の日本では、一旦「死」は、身近なものではなくなりました。しかし、ここから先の未来は「死」身近なものとなり仏事に関わることが確実に増える時代が既に始まっています。

実際、日々生まれる子供より死んで逝く人の方が多くなりました。最近では、家族葬や簡略化された葬儀が増えて、仰々しいお葬式自体をあまり見かけない気もします。霊柩車もシンプルになりましたよね。しかし確実に亡くなる人は増えています。

事実、火葬場も予約待ちの状態でご遺体の冷蔵保存が当たり前になっていると言うことをご存知でしたか?この10年ほどでかなり状況に変化が出てきています。呼び名も家族葬や葬儀なしの直葬というものまで使われるようになりました。

 

 

直葬(ちょくそう)は流石に凄いですよね。いろいろと事情があるとは思いますが、ひとりの人間の人生の最期に何もしないと言うシンプル過ぎる究極の旅立ちの形です。

必ずあなたも仏壇を家に置く日がやって来る

仏壇が怖いので仏壇を置かないと言う選択肢もあります。でも、大切な家族の仏壇を置かないと言うのも如何なものかと思われます。

決して大きく立派な仏壇でなくても一緒に暮らした家族の遺影やお位牌をお祀りしたいですよね。

私が仏壇と暮らし始めたのは、28歳の時です。父が亡くなって家に仏壇を置くことになったのです。その頃も勿論仏壇は怖くて凄くイヤだったことを鮮明に覚えています。

しかし、母が存命だったこともあり母と二人で仏具店に仏壇を買いに行きました。

お店でかなり揉めました。今から25年以上前のことなので仏壇といえば、まさに仏壇らしい形をしているわけです。

怖いので仏壇らしくない小さいモノにしてほしいと訴える私に対し、母親はいずれ自分も入るであろう仏壇なので小さくとも仏壇らしく更に二人の位牌がしっかり入るサイズを選んでいました。完璧に二人の意見は分裂しました。

しかし、夫を亡くして悲しんでいる母の思いを考えると無碍にも出来ず母の選んだ中の一番小さい仏壇を購入しました。

やっぱり怖い。仏壇が家にやって来た

仏具屋さんから仏壇と父の黒位牌が出来上がり到着しました。我が家は浄土真宗なので、仏壇の真ん中に仏様の仏画が飾られていて、ろうそく台や花瓶が両側にシンメトリーになった所謂普通の仏壇です。

私は線香を立てる線香台などの仏具が見るだけで怖いのです。そしてお葬式の時にお坊さんに書いて貰った白木で出来た白位牌から黒い木で出来た黒位牌に変更して仏壇に飾られ一層仏壇らしく出来上がりました。

出来るだけ見ないようにして夜は仏壇のある部屋には行かないようにしました。申し訳ないけれど怖くて仕方ないのです。

母が望んで購入したので仏壇のお世話は母の仕事ということで、私は日常的には一切仏壇のお世話はしない約束をしました。私が仏壇を怖がっていることを母は非常に理解していたのです。

それは、母の実家にも仏壇があって私が年中怖いと言っていたからです。私の仏壇への恐怖心は母や祖母には有名な話しでした。母の実家に泊まる際は仏壇のない部屋に布団を用意すると言うのは、母が祖母に必ず注文してくれていました。

私は、いつも仏壇の将来を案じていた

いつかは、母も亡くなるだろうと思うと息が詰まりそうな気がするほどイヤでした。それは、仏壇と二人ぼっちになってしまうと言う現実が口を開けて待っていると考えていたからです。

でも、母がすぐに死ぬわけでもないし、まだまだ長生きすると思って生きていた頃です。なので案じながらもそんなに酷い未来はないと漠然と考えていました。

将来は私も結婚をして母の元を離れて暮らすのだと思っていたからです。しかし、現実は甘くは無かったと今は思えます。

父の七回忌の直後に母が急死したのです

丁度、父の七回忌を終えてひと月後に母が急逝しました。父がガンで半年以上入院して亡くなったのとは対照的に母は、日曜日の夕方にクモ膜下出血を起こし搬送した病院で半日後に亡くなりました。

非常にあっけない最期でした。常々年老いた母のことを心配して暮らしていました。夜遅くに仕事から帰る時も部屋の窓に灯りがあると安心出来ました。

また、高齢になって行く母が病気になるのではないかといつも不安でいっぱいでした。徐々に介護という現実が見えて来ていたからです。世の中に介護という未来が徐々に浸透し始めたばかりの時代です。

でも、母の死はあっという間に訪れて、あっけないとしか言いようのない死に方でした。

父に続いて母も見送り何となく私の20代後半から40代は葬式や仏事に追われて過ぎ去ったように感じています。

そして家族は誰も居なくなった

母が亡くなってお通夜とお葬式の間は親戚や嫁いでいる姉など多くの親戚縁者が来て手伝ってくれました。でも、私は悲しい以上に仏壇が怖いことで頭がいっぱいになっていました。

仏壇よりも先ずお骨と二人でどうしたら良いものか?狭い団地の部屋で祭壇に置かれたお骨とどう向き合えば良いのか?想像だけが頭を過ぎっていました。

葬儀が終わり斎場で火葬を待つ間、お坊さんのお相手をしてお話しをしている時に、自分が今まさに直面する恐怖の状況についてお坊さんに相談しました。

実は仏壇が怖くてどうして良いかわからない

お坊さんにしてみれば、火葬場でなんて罰当たりな発言をする娘なのだと呆れていたと思いますが、私にしてみれば究極の質問でした。だってお葬式のあと誰もいなくなって一人きりでどうしたら良いのか途方に暮れていたからです。

一人暮らしもしたことがなく、いきなり仏壇?否大きな祭壇に置かれてお骨と二人きりです。仏壇すら怖いのにあまりに厳しい現実がそこにありました。

すがるような気持ちでお坊さんに「仏壇が怖くなくなる方法はないですか?」と質問をぶつけました。

仏壇への恐怖は克服できるのでしょうか?

お坊さんの答えは、意外とすんなりと簡単なものでした。「仏壇が怖いなら仏壇をよく見て理解することが大切です」とのことでした。

怖いと思ってよく見ていなかったのは確かに頷けると思いました。でも見るのも怖いのです。

その次に言われたのは仏壇をこまめに掃除していれば怖くなくなると言うことでした。掃除?見るのも怖いので掃除などしたことは無かったのです。

要は、母がしてきたことを引き継いで更に手を掛け掃除をしっかりしなさいと言われたのです。

よく見て掃除をすれば仏壇は怖くない?

確かにそれがいったい何なのかよく見て理解すれば別段怖いものはないのです。特に恐怖を感じるモノがあるわけではありません。

単なるロウソクの台や線香立てです。位牌にしても法名(戒名)が掘られている木の板です。仏具屋さんに頼んで作って貰っただけの代物なのです。

 

 

よく見ずにただ怖いと目をそむけていると、そのものの本質が見えなくなり怖いと言うイメージだけが独り歩きを始めるような気がします。

それからは仏壇の掃除をしたり花を生けたりして怖くなくなりました。でも、葬儀のあと納骨までの間は、母のお骨と二人ぼっちでとても寂しく辛かったと言う思い出が残っています。

仏壇はともかく、やはり夜にはお骨のある部屋には行くことが出来ず毎晩布団を被って寝ていました。

ついこの前まで一緒に暮らし世話を焼いてくれた母が亡くなり本当に途方に暮れました。非常に辛い経験でしたが私の人生を力強く豊かにしてくれる出来事だったと思っています。

一先ず、自宅の仏壇は怖くなくなりました

私の場合、他人様のお宅にお泊りする機会も減りましたので仏壇のある部屋に宿泊することはないと思われます。

しかし、あなたが仏壇が怖くて尚且つ仏間に寝なければならないという場合は、正直に話して仏壇のない部屋に寝かせて貰うか、最悪仏壇の扉を締めて頂くくらいで対応しましょう。

今時では、都心では仏間のある家もあまり見なくなりましたが、田舎などはまだまだ仏間に大切な客人を泊めるのがもてなしと考えるお宅も多くあると思います。

また、仏間しか空いていないなど事情もあるでしょう。配偶者の実家などでは仏壇が怖いというのを口にするのも憚られると思いますが、怖いものは怖いのです。さりとて自宅の仏壇ではないので掃除も出来ません。

徐々に仏壇と言えども人が作ったメモリアルアイテムと考え疑心暗鬼にならないように心がけることが大切です。

仏壇が怖い人の克服法・まとめ

仏壇をしっかり見て仏壇を理解することで怖いと言うイメージを独り歩きさせないように心がける。

仏壇を家に設置したら掃除をして、一つ一つのアイテムが人の手によって作られたモノで怖くないと理解する。

招かれた家では、出来れば怖いと正直にお話しして部屋を変えて貰うか、仏壇の扉を就寝時だけ締めて貰うようにお願いしましょう。

如何でしょう?やっぱり怖いものは怖いと思いますが、仏壇は襲って来ないし、ただのモノなので怖くないと自分に言い聞かせるようにしましょう。

恐怖心と言うのは、未知のモノに対して強くなるものと考え冷静に対処します。私も臆病で神経質な性格は幼少期のままです。でも、家の仏壇は怖くなくなりました。

仏壇と暮らしはじめてもう25年以上が経ちますが、その間には家を建てて仏壇と一緒に引っ越しも経験しました。

引っ越しのときには、新築の家に仏壇が一番に入って行くのを見ました。引越し屋さんは仏壇が一番に新しい家に入る「家で一番偉い存在」ということをご存知なのです。

恥ずかしながら私はまったく知らずにいました。でも考えてみれば、新しい家を建てたのは私自身であっても、私が今日あるのは両親のお陰と言うことを考えれば仏壇が一番偉いのだとすんなり理解できます。

他人のお宅の仏壇は、さておきご自身の家の仏壇は、亡き家族への思いとともに大切にすべきものと考えて接してみては如何でしょう。あなたの恐怖心が少しでも減って心豊かな生活を送れることを祈っています。

今回も長文をお読み頂きましてありがとうございます。香♡


 

 

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