春に花を咲かせ、初夏に結実したイチゴ。
7月の終わりには、沢山の子苗が出そろう
春から夏にかけて季節は、大きく変わります。空気が乾燥した外敵の少ない春から初夏へと季節が変化します。
春は、何もしなくてもイチゴは問題なく生長を続けます。害虫もほとんどつきません。病気もほとんどありません。
しかし、春が過ぎ初夏の収獲が終わる頃からイチゴの苗の環境にも変化が訪れます。イチゴは苗の状況によってさまざまな変化をします。
何度も花が咲き実をつける苗や花芽をつけずランナーを出し子苗が増えるものなどです。
また、ランナーを出さず、株が分化して増えるものもあります。苗の株が気がつくと複数に増えているのです。
元々の苗の力も個体差があるのですが、どの苗も子孫繁栄の力は、素晴らしいほど旺盛です。イチゴは、他の植物とは比べようがないほど株が増えます。
苗の生まれた時季の違いも関係する
春の結実の以降に増えた苗は、秋くらいから実を着けます。しかし、夏以降に増えた苗は冬を越して春に花が咲きます。イチゴの苗は、環境によって大きさもさまざまになります。条件次第で大きくもなり小さいままの場合もあります。
大きい鉢に入れば、どんどん増え大きくなります。しかし、すべてを大きい鉢に植えたりすることも難しいので個体差が出ます。また、全部の苗を陽当たりの良い場所に置くこともできません。
狭い場所での栽培なので置き場所に困ります。夏が近づき気温が上がると花芽がどんどん着きます。しかし、雨が多い時季は、苗を雨に当ててしまうと湿気と雨で、受粉が出来ず実が成りにくくなります。また結実しても形が悪くなります。
梅雨入り後の管理
雨が降らない晴れた日は、出来るだけお日様にあてましょう。ほとんどの植物は太陽の日差しが大好きです。植物の生長には太陽の光が不可欠です。
晴れ間をみて日向にイチゴの苗を出すと良いでしょう。梅雨はどうしても日照時間が減るので貴重な晴れ間を利用しましょう。紫外線で、消毒作用もあり病気の予防にもなります。
そして、旨く育てば、再び花が咲き始めます。開花した花が、雨で濡れてしまうと実がキレイに成りません。出来るだけ雨に当たらないよう工夫が必要です。気温の変化も大きい梅雨は、ミツバチも飛来しません。受粉がしづらい時季といえます。
湿気がイチゴの病気を増やす
元々、病原菌は親株にあります。環境によって広がり葉っぱに黒いシミが出来ます。イチゴの黒星病です。
一番の対策は、病気を広げないことです。黒いシミが出来た葉はすぐに切り取ります。切り取った葉っぱは、燃えるゴミに出しましょう。
ランナーで繋がった子苗(子株)にも伝染します。しかし、三番目に出る「三郎苗」には感染しにくいので、新しい苗を作る際は三番目の苗を使うと良いのです。
良い子苗を取りたい場合は、出て来たランナーをしっかり管理します。三郎苗が採れるようにだいじに育てます。ランナーをだいじに扱わないと「三郎苗」は採れません。
二郎苗くらいまでなら、簡単に採取できます。三郎苗を採るには、かなりお世話が大変です。ランナーで増える苗は、先に行くほど細くなる傾向があります。水切れがしやすく枯れやすいのです。
梅雨に花を咲かせ、実を成らす苗
一方では、子苗がいっぱいなのにこちらは花や実が沢山なり続ける場合もあります。
同じイチゴなのに、ばらばらな動きで戸惑います。梅雨の時季は、花が咲いても実がキレイに成るには難しいのです。しかし、そのような中でもしっかりと実をつける苗もあります。とにかく、ひとつひとつの苗に個性があります。
寒暖差があるのでイチゴの実自体は甘く非常に熟れています。時には、暑さでドライフルーツになって居るものもあります。日々の観察が非常に大切です。
少し目を離すとさまざまな問題が起こります。早めに対処するためには、毎日イチゴを見て回る必要があります。なんとなく面倒くさい気もしますが、小さな変化を楽しむと考えると自然と目が行くものです。
そして、梅雨も後半になると気温が一気に上がってきます。害虫の活動も勢いを増します。
避けては通れない害虫駆除作業
害虫駆除と言っても薬剤は使いません。すべてみつけて殺します。捕殺駆除が中心となります。害虫の生体を知り現れる時間と時季を見計らうのです。
下の写真も蛾の卵です。前日に蛾がいました。すかさず確認するとやはり産卵されていました。卵が孵る前に素早く駆除をします。
気を付けていれば、然程、難しくもなく問題はありません。簡単に出来ます。思った通りの動きをします。
害虫は習性があり習性を知れば駆除は難しくないのです。昼間に蝶や蛾が飛んでいた場合は、次の日に葉の裏をすべて確認しましょう。卵を産みつけられていることが多いです。
昼間に葉を食害するものは蛾の幼虫が多いです。また土の中に潜み食害をする虫の幼虫もいます。
飛んで来る虫では、コガネムシが多いです。既に、コガネムシ(成虫)を一匹駆除しました。しかし、その喰いっぷりが凄い葉っぱが穴だらけになりました。
まわりで農薬を使うと無農薬の場所に害虫が集まります。夜に食害するものや雨上がりに食害するものなど時と場合によってさまざまな害虫が狙っています。
多いのは、夜の害虫ヨトウムシです。昼間は土の中に隠れます。夜間に葉を食べます。また、雨上がりはナメクジやカタツムリです。
毛虫や、蛾の幼虫などは小さいうちは目に見えないほど細かく探すのが大変です。最近、細かいものが見えにくく老眼鏡で害虫を探します。
でも、害虫が、食べるのは無農薬だからです。そう思えば安心ですよね。害虫を一匹ずつ退治するだけです。無農薬は病気と害虫退治に手がかかります。でも、家庭菜園なので農薬は使いたくないですよね。
ランナーの子苗の管理
イチゴの親株から出て来たランナーに子苗がぶら下がります。子苗には、親苗と同じ葉っぱがついて可愛らしいです。あっという間に増えてぶら下がっていきます。
小さくてもちゃんとイチゴの苗の格好になっています。唯一親苗と違うのは根がないという部分です。子苗にはまだ根が出ていないのです。葉の付け根に根の元が見えますが丸く縮こまっています。
この縮こまった根が、土にふれて水分を感じ根を伸ばします。はじめは、ぶら下がったままなのです。でも、土に着くと根を張り自力で生長を始めるのです。
ここでも、栽培環境で対処が変わってきます。壁に掛けて栽培している場合は壁掛け型の鉢で増やす方法があります。
ポットで栽培している場合はポットのポケットに定着させます。植木鉢なら小さい鉢をそばに置くなど状況によって判断すると良いでしょう。とにかく沢山出てきますので対応するのも大変です。
簡単そうですが、意外と難しいのです
親苗とランナーで繋がった状態で暫く様子を見ます。ランナーは、へその緒のような存在なので子苗が、自立すると自然にランナーは枯れます。それまではいつも一緒です。
親株の鉢を動かす時に、注意しないと子苗が抜けてしまいます。また「三郎苗」だけが欲しい。そう思っても、先についている太郎苗も二郎苗もしっかり育てないと、三郎苗も元気な子苗に育ちません。状況に応じて旨く対処してください。
新しい子苗は、一度根を出し始めると水涸れに弱くなります。水やりはしっかりと鉢の下に流れるくらいあげます。また花がついている場合は雨に濡らすことは避けましょう。
そして、水はしっかり行いましょう。どちらも葉に水が掛からないように心がけましょう。
葉に雨や水が掛かると病気の原因になる
どうしても動かせない場合は仕方ないです。しかし、出来るだけ大雨の予報がある場合などは軒下など雨が当たらない場所へ移動しましょう。
暑い中、結構大変ですし手間も掛かります。でも、だいじに育てれば、長い年月を共に生きることが出来る野菜なのです。
どんな野菜よりも長い栽培期間の植物がこのイチゴなのです。自然に苗が生まれ変わり繋がっていく増え続ける。このような野菜は、ほとんどと言って良いほど他にはありません。
花も美しいし実も美味しいです。何よりもすべての姿が可愛らしい。長く付き合える、愛着が持てる植物だと思います。
ランナーを押さえる為の小道具を作る
やり方は、ひとそれぞれ簡単な方法を書きます。用意するものは、針金です。ダイソーで、売っている銅の針金を購入しました。
銅にしたのは、ムシが銅を嫌うからです。家にあれば何でも良いです。今回は、0.9ミリの太さです。銅線は、柔らかいので丁度良い太さだと思います。材質によっては曲げるのに力が要ります。
このくらいの太さなら、ハサミで簡単に切れて曲げるのもラクなのです。大体4センチから5センチくらいに切ります。
それを真ん中くらいで、曲げてピンをつくります。針金の留め具を自作するのです。
ピンの出来上がりです。このピンでランナーを止めていきます。あまり短いと抜けるのでこれくらいの長さが良いです。2センチくらいです。
土を用意して、子苗の上の方から土にのせてます。ランナーに傷を付けないように、作ったピンで止めます。ランナーの向きを見て、抜けないように止めるのがポイントです。
止めたら下にもまだぶら下がっていますが、今日はここで終了です。太郎苗から次郎苗へと根が着いたら次々とピンで止めて土に根を出させます。
暫くすると土に止めた子苗が根づきます
しっかり根が出れば、銅線のピンは、要らなくなります。捨てずに、次の苗の固定に使います。出来るだけ資材や道具は、だいじに捨てないようにリサイクルしましょう。
家庭菜園ですから、あまりお金を掛けないのが基本です。まずは、太郎苗を定着させ次に二郎苗となります。最後は三郎苗をしっかりgetしたいですよね。
三郎苗にこだわるのは、親から遠いところに出来るのためです。親の持つ病原体を受け継いでない可能性が高いのです。
だからと言って、他の元気の良い太郎や二郎が悪い訳ではないと、私はそう考えます。太郎や二郎苗は、親苗に近い分大きく、しっかりしています。見た目も元気。旨く管理すれば、病気で全滅はあり得ません。
病気も、害虫もみつけ次第切り取る
イチゴは、葉っぱが一枚になっても復活します。万が一、ダメでもまだまだ予備があります。病気や、害虫をみつけたらすぐに切り取る習慣をつけましょう。
枯れた葉っぱも直ぐにお掃除します。常に清潔を心がけましょう。病気の防止になります。病気の防止と言えばマルチングがありますが、理由は、葉の裏に土が、跳ねかえり付着しないようにするためです。
本来は、ストロベリーですから、藁(わら)を敷きます。しかし、東京で藁は、高価であると同時に普通に手に入らない代物です。売っていますがちょっと手が出ません。
なので、ウッドマルチを使っています。下の鉢は、枯れた部分もあり、マルチングを外して肥料をあげてお掃除もしました。
花や葉っぱが枯れています。清潔を保つため枯れたものは、取り除きます。
年に数回、熱湯消毒したのち太陽に曝したりします。木材なので害虫がつかないように注意しています。熱湯消毒などで、使い回しが出来るので便利ですし経済的なのです。
梅雨明けが、遅れています。一旦、マルチングを外し肥料を与えた状態です。肥料には、いろいろ使えるマグアンプkを愛用しています。元肥にも使用しています。
何にでも使える。色々なものに使えると言うことは、沢山のモノを買いそろえなくて済むということです。とても経済的ですよね。
再び、マルチングを戻しゴミなどもキレイにしました。
使ったウッドマルチは暑くなるのを待って消毒したいと思います。あなたのイチゴ栽培はいかがでしょうか。ランナーは、出てきましたか?
今回、夏前にランナーで子苗を増やしたのには訳があります。友人から里子の要請がありました。ひとつの苗から多くの子苗が育ち東京近郊の友人宅に里子として旅立って行きました。嬉しいことですね。
なので、珍しくこの時季に子苗を増やしています。例年なら、切って捨てるのですが、やっぱり子苗は可愛いですよね。
イチゴ栽培の作業は、年間を通し長い年月楽しめます。ひとつの苗から増え続け非常にやりがいのある作物のひとつです。
ぜひ、あなたもイチゴの栽培にチャレンジしてみてください。既に始めている方は、どんどん増やしましょう。収獲が沢山出来ます。
肌にも健康にも良いビタミンCがたっぷりのイチゴを沢山収穫して毎日イチゴを食べることができます。
ハウス栽培にはない季節感を思う存分楽しめます。楽しい園芸を皆様もぜひ堪能してください。
今回も長文をお読み頂きましてありがとうございます。香♡
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